「医療過誤の医師書類送検」の訂正と補足

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3月29日の「医療過誤の医師書類送検」においては,

ある医療過誤事件のニュースをご紹介し,その上で,

医療過誤の刑事責任を問うことに対して消極的であるという,

私の意見を述べました。



ところが,このニュースの関係者から情報提供を頂き,

この事件の医師はまさに刑事責任を問われるべきものであることを知りました。

本記事の末尾に教えて頂いた週刊朝日の記事を掲載しておきます。



私としては,医療過誤において刑事責任を問うことよりも,

被害者に対して「すみやかに」適正な賠償がなされること(民事責任)が

優先されるべきであり,

また医療過誤の予防という観点からいえば,

行政や医師会等における責任を問うべきと思っています。

その意味では,先に「医療事故『無過失補償制度』」でご紹介した

岡井崇医師と全く同じ意見ではありませんが,

同じ方向を向いていると言えます。



とはいえ,私の意見によって不快な思いをされた方に対しては

率直にお詫び致します。

今回の事件については,私の意見を付するにはふさわしくないもののようです。

当然ですが,「怠慢」あるいは「不謹慎」な医療に対しては,

厳しい刑事罰が用意されるべきです。

今回の事件は,週刊朝日の記事を読む限りではありますが,

これに当てはまるようですね。



秋霜烈日。大地を凍てつかせる秋の霜のごとく、激しく照りつける夏の太陽のごとく、厳しく高い志をもって刑罰を問う──これが検察のモットーである。ところが、検察、とくに東京地検の劣化が著しい。送致された事件を受けず、放置し、時効ぎりぎりにこっそり不起訴にしたケースも。あきれんばかりの惨状をリポートする。

ジャーナリスト 時任兼作

「不起訴? 驚きのあまり声も出ませんでした。それって本当に正しい判断なのでしょうか?」

病院に運ばれながら医師の治療も受けられず放置されて妻を亡くした夫は、呆然とした様子で語った。

事件が発生したのは、2005年4月のことだ。

東京都世田谷区に住んでいた20代半ばの女性が、夜9時過ぎ、腹部に激痛を訴えた。救急車を呼んだが、同区内の救急指定の長谷川病院に搬送され診察が始まったのは、10時をはるかに回っていた。その間、女性は急激な血圧降下に見舞われ、意識を失った。ところが当直の医師は検査もろくにせず放置した。その結果、女性の子宮外妊娠による内出血は見落とされ、翌朝、出血多量が原因で死亡したのだ。

別の親族は病院の対応に憤る。

「受け入れ先が決まって救急病院に到着するまで30分、さらに病院でも当直の医師が外出して不在だったため、しばらく待たされました。ようやく戻ったと思ったら、この医師、女と腕を組んで現れ、急患を放ったまましばらく立ち話をしていたんです」

病院で治療が始まるまで優に1時間以上かかったのにはこうした事情があったというのだ。ずさんな対応はさらに続いたという。

「医師はろくに検査もせず、やったのはレントゲンくらい。しかも出血を見落とした。そして、『大丈夫です。みなさんはお帰りください』と言った。でもその数時間後、容体が急変して死亡してしまったのです」

親族はさらに言う。

「あきれたのは、死亡推定時刻から3時間近く過ぎてからなぜか、危篤だと連絡が入ったことです。医師が初めて患者の様子を見にいったときは、すでに亡くなっていたはずです。要するに、医師は患者が死亡するまで、そして死亡してなお放置していた。これが、救命救急についての著作もある医師が院長を務める病院のすることでしょうか」

女性の死後、原因を特定するために解剖した監察医は、担当医師のあまりのずさんさにあきれ果て、遺族に暗に訴訟を勧めたという。

医療過誤というよりも医師の怠慢によって家族の命が奪われたと、親族は病院と医師を相手に刑事・民事で訴えを起こした。真相の解明とともに、罪を償い、謝罪してもらわなくてはいたたまれないという気持ちからだ。

民事裁判では病院や医師の重大な過失が認定された。だが、医師からも病院長からも謝罪の申し出ひとつなかったという。親族たちは刑事事件に期待をかけた。

しかし、思うように捜査は進まなかった。警視庁は09年7月、捜査を本格化させ、業務上過失致死の疑いで医師らを書類送検しようとした。しかし、東京地検はそれをなかなか受理せず、しかも当初は起訴すると言いながらその時期をずるずると延ばした。そして今年3月下旬になって不起訴と決定。その直後、担当検事は転任し、4月にこの事件は時効を迎えてしまった。

「捜査関係者の中には『お金をもらったんだからいいだろう』などと暴言を吐く人もいましたが、とにかく厳正に刑事処分をしていただきたかった。ところが、民事で過失が認められているのに、時効ぎりぎりに不起訴にされてしまったのです。医療行為を怠ったのに、瑕疵はないというわけです。どういうことなのかさっぱりわかりません」

刑事事件での処罰を信じていた遺族の5年間は、無為に流れてしまった。女性の夫は無念そうに語る。

「いまだ遺骨を埋葬する気になれず、朝晩遺影に語りかけている私の気持ちを検察はわかっているのか。刑事処分がなかったため、病院はいまだに救急指定のまま診療を続けています。それどころか院長はテレビ出演もしていて、見てびっくりしました。また、担当医師も医師免許はそのままです。検察はこれが不起訴の結果だとわかっているのでしょうか。やりきれない憤りでいっぱいです」

検察のおかしな事件処理はこれにとどまらない。こんな告発も寄せられた。

(週刊朝日2010年5月21日号)

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「四重苦」を救う介護政策?

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低所得要介護高齢者は,

 困窮,単身,要介護,高齢・障害

の四重苦に苦しめられているとのことで,

これに対する政策提言がNPOからなされました。

確かに介護保険は全てではありません。

これをカバーするような政策が必要ですが,

やはりここでも問題は財源ですね。



「四重苦」救う3つの介護政策―NPOが提言

NPO法人自立支援センターふるさとの会はこのほど、低所得要介護高齢者の受け皿の在り方についての研究結果を取りまとめ、困窮、単身、要介護、高齢・障害の「四重苦」を抱える人を救済するための政策を提言した。

政策提言は、▽24時間の生活支援など介護保険外のサービスを提供する「地域生活支援サービスの現物給付」▽制度のすき間を埋めるコーディネート機能として「サポートセンターの設置」▽地域住民との協力体制をベースとする「地域協働型支援付き住宅の制度化」―の3つ。厚労省に制度化を求めていく方針。

研究は厚生労働省の社会福祉推進事業として実施。ふるさとの会が、実験的に展開する低所得要介護高齢者向けに介護保険制度と地域住民による支援を併せて提供する「支援付き住宅」の活動事例などを参考に、「高齢被保護者等の地域における居住確保とケアのニーズ調査及びシステム構築の方法に関する研究」報告書としてまとめた。

(2010年5月11日 キャリアブレインニュース)

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近視で失明?

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長めの連休をいただき,今日から仕事再開ですが,

仕事が溜まりに溜まっていますね。

今日は視力障害のニュースを。

私も結構強度な近視ですので,記事を読んでややびっくりです。

みなさんも気をつけましょう。



働き盛りの近視怖い パソコンなど悪影響 深刻な視力障害注意(1/3ページ)

100510 視野検査。視力検査だけでは分からない病気を早期に見つけることが大切だ=東京都文京区の東京医科歯科大学(草下健夫撮影)

パソコンや携帯電子機器が家庭や職場に普及し、目の健康が心配な現代の生活。特に強度近視は働き盛りに多く、しかも引き起こされる病気が早くから深刻な視力障害につながる。ところが、回復不可能なほど悪化してから受診するケースも多いとされ、専門家は「たかが近視と油断せず、自覚症状があったら早く検査を」と警告する。(草下健夫)

≪失明の第2の原因≫

近視は多くの場合、「眼軸長」と呼ばれる眼球の奥行きが異常に延び、像が網膜より手前で結んでピンボケになる。強度近視では、この眼軸長が正視(像が正しく網膜に結ぶ)より3・5ミリ以上長いことが推定されている。全国で40歳以上の人口約6700万人のうち、360万人ほどが強度近視とみられている。

東京医科歯科大学の大野京子准教授(眼科学)は「強度近視は遺伝的要因が大きいが、そこに携帯ゲームやパソコンなどの増加をはじめ、環境要因が加わっている。ハワイの日系人に近視が少ないことも、遺伝だけではないことを示唆している」と説明する。強度近視は、国内では緑内障に次いで2番目の失明の原因といわれている。

強度近視の特徴として、大野准教授は「40~50代に多く、両目に起こりやすい」と、働き盛りの世代に注意を促す。しかも「黄斑(おうはん)部という網膜の中心部分が障害されやすいため、早期から高度な視力障害が起こりやすい」。

(2,3ページ略)

(2010年5月10日 産経新聞)

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医療事故「無過失補償制度」?

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民主党の参院選マニフェスト素案の中に,

医療事故の「無過失補償制度」が盛り込まれていました。




「無過失補償制度」や「介護環境整備」盛り込む-民主マニフェスト素案

民主党の「国民生活研究会」(中野寛成会長)は4月21日、医療・介護・年金分野を担当する第一分科会の会合を開き、夏の参院選マニフェスト作りに向け最終調整に入った。会合では、同分科会がまとめた素案を基に、細かい表現などについて詰めの作業が行われた。素案には、医師の過失の有無にかかわらず金銭補償をする無過失補償制度の検討や介護環境の整備などが盛り込まれている。

素案は、医療と介護分野だけで11項目。具体的には、▽医療提供体制の整備▽医療の安全安心▽予防医療の推進▽感染症等の対策▽アレルギー・化学物質対策▽メンタルヘルス▽歯科医療改革▽終末期の環境整備▽介護労働者の処遇改善▽要介護認定の見直し▽介護家族支援対策―。

医師不足の解消については、一歩踏み込んだ内容となった。昨年の衆院選マニフェストでは「OECD(経済協力開発機構)加盟国平均の人口当たり医師数を目指し、医師養成数を1.5倍にする」と具体策を示したが、今回の素案では、増えた医師が地域医療を担える体制づくりも含んだ内容になっている。「医療提供体制の整備」の項目には、2012年度の診療報酬改定の「増額」も明記された。

「医療の安全安心」の項目には、医療従事者が訴訟リスクを恐れて「委縮医療」が生じていることを問題視し、無過失補償制度の導入を検討課題に挙げた。介護分野では、介護労働者の処遇改善だけでなく、「介護疲れの家族のために」という表現を使い、介護家族への支援を打ち出している。

同分科会は素案に、この日の議論に基づく修正を加え、最終案として同研究会に報告する。

(2010年4月21日 キャリアブレインニュース)



「無過失」となると,これをカバーする範囲がかなり広くなり,

保険料も多額となるでしょうし,

それを最終的に負担するのは患者側となるでしょう。

いろいろと問題はあるでしょうが,

それでも,私はこのような補償制度は必要だと思います。



3月30日に弁護士会で開催された講演を聴いてきました。

昭和大医学部産婦人科教授の岡井崇医師によるものです。

同医師は,産科医療補償制度の原因分析委員会委員長を務めた方で,

先に紹介したような,診療科を問わない補償制度の必要性を説いておられました。



岡井医師の講演内容に関しては,

また日を改めてご紹介させていただければと思いますが,

医療事故は交通事故とは違い,自賠責保険のような制度がありません。

そのため,被害を回復しようにも,

そのための費用がなくて泣き寝入りを強いられている方が少なくありません。



この点は以前の記事でも触れましたが,

「ミスは必ず起きるもの」という前提に立ち,

重大な被害を被った方に対して最低限の補償は用意すべきでしょう。

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「医療ビザ」?

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久しぶりの記事の更新です。

連休前の多忙さのあまり,怠っていました。



国家戦略室、「医療ビザ」構想に前向き

政府の国家戦略室は日本での治療や検査を希望する外国人が入国しやすくする「医療査証(ビザ)」構想を6月にまとめる新成長戦略に盛り込む方向で調整する。26日に厚生労働省と外務省から聞き取り調査した内閣府の津村啓介政務官が明らかにした。

津村氏は構想の具体策として「(外国人の)滞在目的への医療の追加、来日後の期間延長手続きの簡素化などがある」と指摘。そのうえで「医療滞在ビザを設けて弾力的なビザを発給することを議論する」とした。医療ビザは厚労省が創設を提案。外務省や法務省もビザ発給の弾力化に前向きな姿勢を示している。

(日経新聞)



様々な問題が噴出している民主党政権ですが,

医療や福祉の問題もきちんと進めてもらう必要があります。

医療分野については,

外国人(特にアジア諸国でしょうが)に対してサービスを提供することも含め,

業界全体の成長が期待されています。

新たな制度に期待したいですね。

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高次脳機能障害 脳損傷リハビリセミナー

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今日はこのブログで何度か取り上げている

「(脳外傷による)高次脳機能障害」について。

この土日に専門家によるセミナーが開かれたそうです。



高次脳機能障害に関するリハビリについては,

私も担当する事件の関係で多くの文献を読んできましたが,

「患者中心のゴール設定」というアプローチはあまり目にしませんでしたね。

この障害は症状が様々であり,そうであるがゆえに,

各患者が職場や学校,家庭で困っている状況も様々だと思います。

まさに「患者中心」のリハビリが要求されるのでしょう。




脳損傷リハ「患者中心のゴール設定を」

国際治療教育研究所は4月17、18の両日、「高次脳機能障害 脳損傷リハビリテーション・セミナー」を東京都内で開催した。セミナーには言語聴覚士や作業療法士など約240人が参加。講演した英グラスゴー大応用神経心理学のジョン・エヴァンス教授は、患者の問題を把握するために「フォーミュレーション」を作成して患者と共有し、患者中心のゴール設定を行うといったリハビリでのさまざまなアプローチを紹介した。

100419 同セミナーは、国内外の専門家の講演を通して、脳損傷に関する基礎知識とリハビリのノウハウの共有を目指す取り組みの一環。

1日目は、川崎医療福祉大医療技術学部感覚矯正学科の種村純教授が「認知リハビリテーション 最近の動向」と題して、エヴァンス教授が「神経心理リハビリテーションの原理と実践」「記憶のリハビリテーション」「遂行機能のリハビリテーション」について講演した。2日目は、大東祥考・京大名誉教授が「外傷性脳損傷における情動・社会行動障害」について解説し、エヴァンス教授が「情動情緒障害のリハビリテーション」「洞察とアウェアネスの障害のリハビリテーション」「外傷性脳損傷者に対する職業リハビリテーションと職業復帰」をテーマに講演。

両日とも会場を交えた質疑応答も行われた。

エヴァンス教授は、自身が指導する神経心理学的リハビリテーションについて、患者の感情や身体の問題、認知障害などの因子の相互作用を記述、表現する「フォーミュレーション」を患者と共有し、患者中心のゴール設定を行う手法を紹介。ゴール設定については、患者の動機付けなどを探りながら、患者にとって意味あるものにする重要性を指摘した。また、設定に当たって患者とディスカッションをするためには、患者自身が自分の行動や考え方をどう変えたいのかのアイデアを出せるような働き掛けが必要との考えを示した。

セミナーを終えるに当たり、種村教授は「今回のセミナーが契機になって、わが国の高次脳機能障害者に対するリハビリテーションが変わっていくと思う。(エヴァンス教授が紹介した)アイデアをぜひ取り入れていただきたい」と述べた。

またエヴァンス教授は、「実際に患者と一緒に取り組みをしていく中で、まずinterdisciplinary team(集学的チーム)での取り組みを取り入れていただきたい」と述べ、多職種が連携して取り組む必要性を強調した。

同セミナーは、24、25の両日に大阪でも開かれる予定で、約300人の来場が見込まれている。

(2010年4月19日 キャリアブレインニュース)

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田辺三菱製薬に業務改善命令(続)

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昨日の記事に引き続き, 田辺三菱製薬の不正について。

日経の社説に取り上げられていましたが,まさにそのとおり。

試験データの改ざんなど,製薬会社としては最低の不正ではないでしょうか。



医療産業の成長妨げる田辺三菱の不正

医薬品への信頼を深く傷つけ、新薬開発を促す規制緩和を遅らせかねない重大な問題だ。田辺三菱製薬の子会社による血液製剤の試験データ改ざんは、医療産業の成長に自ら水を差す行為だ。

厚生労働省は田辺三菱製薬の子会社のバイファが組織的にデータを改ざんしたとして、バイファ社に30日間、管理監督責任のある田辺三菱に25日間の一部業務停止を命じた。

昨年3月に明らかになった改ざん問題は、大手製薬会社が医薬品の承認手続きの不正で罰せられる異例の事態になった。人の命にかかわることを考えれば、処分は当然だ。

問題の血液製剤は「メドウェイ注5%」といい、田辺三菱製薬とバイファ社が共同で開発した。重いやけどや肝硬変などの患者が血液中のたんぱく質の不足を補うための薬で、遺伝子組み換え技術を使っている。

それまでの血液製剤は人の献血液をもとにつくるため、ウイルスなどが混じる危険を完全にはなくせなかった。遺伝子組み換えで混入が起きないようになり、画期的な新薬として、2007年10月に国の承認を受けて販売を始めていた。

だが、開発途中でのネズミを使ったアレルギー試験で一部に陽性反応が出たにもかかわらず、データを陰性に書き換えて承認を得ていた。

田辺三菱製薬が設けた第三者の調査委員会によれば、薬事法に違反する行為は16件に上る。田辺三菱はこれまでに特別なアレルギー反応などは報告されていないとしているが、被害の有無にかかわらず、データねつ造の事実は許されはしない。

高齢化の進展に合わせて医療体制を充実させる必要があり、医療は成長産業として期待されている。医薬品分野では手間とコストがかかっている臨床試験や審査手続きを簡素にするような、規制緩和が欠かせない。

そうしたときに起こった今回の問題は医薬品の審査への信頼を損ないかねない。規制緩和が遅れ医療や医薬品産業の成長が妨げられれば日本経済にとっても損失になる。二度とあってはならない問題だ。ほかの製薬会社も重く受け止めてほしい。

バイファ社は、薬害エイズ事件を起こし、合併を重ねて田辺三菱製薬になったミドリ十字が子会社として設立した。人命を軽視してまで利益を優先する体質が残っていたと批判されても仕方があるまい。

田辺三菱製薬は処分を機に、社内やグループ企業の管理監督体制を早急に総点検すべきだ。医薬品産業全体への信頼にかかわる問題だという自覚を持ってもらいたい。

(2010年4月16日 日経新聞)

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田辺三菱製薬に業務停止命令

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今日は田辺三菱製薬業務停止命令が出たというニュースを。

子会社である「バイファ」が開発した血液製剤の承認申請で,

治験データを差し替えていたという事件です。

この「バイファ」の不正ですが,

どうもあの薬害エイズ事件旧ミドリ十字出身の社員が関係しているとか。

やはり会社の「体質」的な部分は変えられないのでしょうか。

悲しい限りです。



田辺三菱製薬に業務停止命令 子会社が組織的に試験データ改竄

100414 会見終了時、深々と頭を下げる(左から)田辺三菱製薬の土屋裕弘・代表取締役社長、株式会社バイファの藤井武彦・取締役社長=13日午後、東京都千代田区の帝国ホテル(三尾郁恵撮影)

田辺三菱製薬(大阪市)の子会社「バイファ」(北海道千歳市)が、開発した血液製剤の承認申請で治験データの差し替えなどを行っていた問題で、厚生労働省は13日、薬事法に基づき、田辺三菱製薬に対し第1種医薬品の製造販売業務を17日から25日間の業務停止処分とした。バイファについても医薬品製造業務を14日から30日間の業務停止処分とし、両社に業務改善命令を出した。

大手製薬会社が承認手続きの不正で処分を受けるのは極めて異例。厚労省は「医薬品の承認申請の信頼性を損なわせる重大な違反」と判断した。田辺三菱が昨年に不正を公表し、厚労省が調査していた。

代替品のない薬品の供給は業務停止対象から外されたほか、在庫品の販売も可能で一般への影響は小さくなるよう配慮された。

問題の血液製剤は、遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注」。やけどの治療などに使われる。バイファ社は、メドウェイ注の治験(臨床試験)や市販後の品質管理で、不純物の量や無菌試験のデータなど、計31項目の検査などでデータの差し替えや捏造(ねつぞう)をし、うち16項目が薬事法に抵触していた。

厚労省によると、不正行為はバイファ社の幹部の指示のもと、約20人が組織的にかかわっていた。薬事法には抵触しないが、田辺三菱製薬側にも不正を誘発する行為があったという。

すでに製品は自主回収され、製剤による健康被害などは報告されていない。

バイファ社は薬害エイズ事件を起こした旧ミドリ十字が平成8年に設立。不正では同社出身の社員が主導的立場にあったという。

(2010年4月14日 産経新聞)

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脳脊髄液減少症に保険適用?

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今日は交通事故に関する医療ニュースを。

交通事故では脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)が問題となっていますが,

厚労相に対する陳情により,検査への保険適用が周知されるようです。




脳脊髄液減少症治療の保険適用、次期診療報酬改定で―長妻厚労相

民主党の「難病・脳脊髄液減少症を考える議員連盟」(川内博史会長)の会合が4月12日に開かれ、脳脊髄液減少症の治療方法である「ブラッドパッチ」などの保険適用を求める10万5088筆の署名を、患者団体が長妻昭厚生労働相に提出した。長妻厚労相は、ブラッドパッチの次期診療報酬改定での保険適用に前向きな姿勢を示した。また、検査を全国一律に保険適用できるよう、周知徹底する考えを表明した。

脳脊髄液減少症は、交通事故などによる強い衝撃で脳脊髄液が漏れて減少することで、頭痛や目まいなどの症状を引き起こす。ブラッドパッチは保険適用ではなく、検査も地域によっては保険適用になっていない。

厚労省では、2010年度厚生科学研究として「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する調査研究」(研究代表者=嘉山孝正・山形大医学部長)を立ち上げ、診療のガイドライン策定を目指している。

長妻厚労相はブラッドパッチの保険適用について、「診断のガイドラインをまとめていただいた上で、次回の診療報酬改定の中で検討していきたい」と述べた。また、検査が保険適用となることを全国の医療機関に周知徹底する考えを表明した。

これを受けて、同省保険局の佐藤敏信医療課長は、検査が全国一律で保険適用となるよう、週内にも課長通知を出す方針を示した。

(2010年4月12日 キャリアブレインニュース)



この「脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)」ですが,

交通事故の賠償実務では,なかなか認定されていません。

診断基準は現在作成途中ではありますが,暫定的なものはすでにあります。

これにあてはめると,交通事故によって発症したと認められる例は少ないようです。



いろいろな事例や判例を見ていると,

どうも「何でもかんでも脳脊髄液減少症」という傾向に見えてきます。

もちろん,多くの交通事故の被害者の方が

種々の症状に悩まされていることは事実でしょうが,

それを全て「脳脊髄液減少症」で説明できるのかというと,

現時点で私はやや疑問に感じています。



とはいえ,医療は日々進歩するもの。

少なくとも「きちんとした」検査は皆さんが受けるべきであり,

そこに健康保険が適用されること自体は賛成です。

やはり問題は医学的根拠に基づいた診断基準の確立と,

同じく医学的根拠に基づいた治療法の確立ですね。

ブラッドパッチ」を受けた後,

一層症状が悪化したという方もいらっしゃいますので…。

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施設内で知的障がい者へ「暴行」

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今回は酷い事件のニュースを。

千葉県の障害者支援施設内で,

重度の知的障害のある入所者の女性に対し,

職員が性的暴行を加えたという事件。

弱者に対する卑劣な犯罪ですが,判例雑誌などを見ていると,

意外とこの種の事件が多いことに気が付きます。

記事にもありますが,予防対策が肝心でしょう。

もちろん全体から見れば極めて少数なのでしょうが,

残念ながら,このような許されない犯罪を犯す人物が存在するのですから。



福祉の理念 揺るがす行為 施設女性に暴行 元職員、資格持たず

県内の障害者支援施設で、夜勤中に重度の知的障害がある入所者の二十代女性に性的暴行を加えたとして、準強姦(ごうかん)の疑いで逮捕、起訴された元職員の榊田悠人被告(23)=懲戒解雇。障害者を守るべき施設で、事件はなぜ起きたのか。施設運営や制度上の問題点を探った。 (那須政治)

施設によると、榊田被告は二〇〇七年三月、生活支援員として採用された。同被告は事件当時、二十人ほどいた職員の中で唯一、福祉関係の大学や専門学校で取得できる社会福祉主事などの資格を持っていなかったという。資格を持たない人を採用しても法的には問題ない。

施設の責任者は「福祉の理念の根本を揺るがす行為。(資格がない分)職員教育を施してきたが、不十分だった。管理ミスといえばミスだった」と肩を落とし、何度も被害者に謝罪の意を示した。

施設や県警によると、施設関係者が昨年八月に女性の妊娠に気付き、女性は一~二週間後の同月中に病院で死産した。警察への通報は病院からだったという。

施設では昨年八月以降、夜勤を二人から三人態勢にし、見回りを強化。防犯カメラも三台から十三台に増やした。今年二月八日に同被告が逮捕され、同日中に懲戒解雇とした。

施設のあり方に問題はないのか。障害者の人権尊重を訴えるNPO法人・DPI日本会議(東京都千代田区)の三沢了(さとる)議長は「施設の閉鎖性が問題の一つ」と指摘する。障害者施設は社会の目が届きにくく、虐待や人権侵害行為があっても、外部から見えにくいという。

三沢議長は、職員のモラルの問題もあるとした上で「障害者虐待防止法(仮)の制定や、オンブズマンなど外部の人が出入りする環境をつくるのが大切」と、今後の課題を指摘する。

◆当直体制 ガイドラインなし

夜勤中に、女性入所者を暴行したとされる今回の事件。厚生労働省障害福祉課によると、当直体制についての規制やガイドラインはないという。

同課の担当者は「各施設によって個別のケースがあるので、当直体制をこちらで取り決めるのは難しい」と指摘。落ち着きがなかったり、急にパニックになったりする入所者もいるため、夜勤に男手が必要なケースもあるという。

県障害福祉課も「入所者それぞれのケースがあるので、細かい取り決めは施設に任せている」と説明する。

同課は昨年八月に女性の妊娠を把握、昨年十一月に施設から改善報告書を受け取ったが、これまで立ち入り検査などは行っていないという。担当者は「適切に報告書の内容が実践できているか、立ち入り検査も行い、厳正に対処していく」と話している。 (深世古峻一)

(2010年4月8日 東京新聞)

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